肝臓がんが重度に進行していて、肝切除手術や内科的療法では治療が難しい場合には肝臓移植が行われます。
肝臓移植は、肝臓がんで悪化した肝臓を摘出し、ドナーと呼ばれる肝臓提供者の健康な肝臓の約半分をもらって入れ替える治療法です。
肝臓は約70%を切り取っても、約30%の肝臓が残っていれば再生することができ、約3ヵ月後には80%までに回復し、1年後にはほぼ元の状態に戻るという他の臓器には見られない再生能力があるため、肝臓移植が可能なのです。
肝臓移植の条件
肝臓移植は12時間前後にも及ぶ大手術ですし、手術後に肝臓の拒絶反応などもあり当然危険が伴います。
ですから、肝臓移植が患者にとってベストに選択肢である場合に行う必要があります。
肝臓移植を行うかどうかを決定するために一定の基準となる条件が設けられています。
現在のところ肝臓がんに対する肝臓移植の適応基準としてミラノ基準が用いられています。
ミラノ基準は肝臓がんの腫瘍の大きさが
3cm以内で3個以下、あるいは
5cm以下で1個という条件です。
ミラノ基準を満たす肝臓がんの肝臓移植手術は、手術後の生存率も高いため、保険適応の対象となっています。
肝臓移植のドナーの条件
肝臓移植を行う場合に重要なのが、患者以上に肝臓提供者であるドナーです。
ドナーは誰でもなれる訳でなく、下記のような条件があります。
- 3親等以内の血族あるいは配偶者であること
- 20歳以上60歳未満であること
- 血液型の組み合わせが適合していること
- 肝炎にかかっていないこと
肝臓移植後の拒絶反応
自分以外の肝臓が体内に入ってくることから、体は異物が体内に入ってきたと思い拒絶反応を起こします。
移植後1~2ヵ月の間は拒絶反応が出やすいため、これを抑えるために
免疫抑制剤が使用されます。
免疫抑制剤は体内に侵入してきた異物に対して攻撃する機能を抑えてしまうため、ウイルスや細菌の侵入に対しても反応が鈍くなってしまいます。
そのため、副作用として感染症に対する免疫力低下し、重度感染症を起こすなど、様々な合併症が認められます。
この時期を乗る超えると拒絶反応も治まってきて、状態が安定してきますので、肝臓移植後1~2ヵ月のケアが大切です。
ただし、退院後も原則として免疫抑制剤は一生飲み続けなければなりません。
肝臓移植の問題点
肝臓移植が成功すると、患者は肝臓がんを患っていた時とは見違えるように元気になって、仕事やスポーツもできる健康な生活を取り戻すことができます。
しかし、肝臓移植で肝臓がんをすっきり取り除くことができても問題もあります。
それは肝臓がんの原因が肝炎ウイルス、特にC型肝炎ウイルスが原因である場合、ウイルス性肝炎が再発しやすいことです。
ですから、退院後も定期的に通院して検査しなければなりません。
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