肝硬変は文字通り「肝臓が硬く変化する」病気です。
肝臓は全体の約30%が機能していれば、肝臓としての働きをこなすことができる非常に予備能力の高い臓器であるため、肝細胞が破壊されていってもなかなか自覚症状が現れません。
ですから、体調の異変に気づき病院で肝硬変と診断されたときには、肝臓はかなり部分で機能が失われている状態になってしまっています。
日本における肝硬変が起こる原因は、約60%はC型肝炎が原因でおこる
C型肝硬変とダントツに多く、次いで約15%がB型肝炎が原因でおこる
B型肝硬変、約10%がアルコール性肝障害が原因でおこる
アルコール性肝硬変です。
最近では食生活の欧米化に伴いアルコールを伴わない肥満者に多くみられる非アルコール性脂肪性肝炎が原因でおこる肝硬変も増えつつあります。
肝臓が肝硬変を引き起こすメカニズム
組織同士を結びつけてる役割をしている組織を結合組織といい、そのうち細胞間を埋める役割をしているものを間質といいます。
間質の代表的なものが、コラーゲンで作られたとても丈夫な膠原線維です。
肝小葉同士もこの膠原線維で結びつけられることで肝臓という1つの臓器が形成されているのです。
このように組織同士を結合させる重要な働きをしている膠原線維ですが、この膠原線維が肝硬変をもたらす原因となります。
肝臓に何らかの障害が起こり、肝細胞が壊れて減っていくと、肝小葉に隙間ができてきてきます。
そうすると、膠原線維はその隙間を埋めるために肝小葉の中にも伸びてきます。
ところが、この肝小葉の中に伸びてきた正常な膠原線維は、正常な肝細胞の周りを取り囲んでしまい、肝細胞が活動するために必要な酸素と栄養を受け取る妨げになってしまうのです。
これにより肝細胞がさらに壊れて減り続ける一方、膠原繊維はますます増え続け、再生結節と呼ばれるしこりができると肝臓は硬くなり、さらに血流が悪くなって肝細胞の破壊が進行する悪循環で肝硬変はどんどん進行していくのです。
肝炎と肝硬変の違い
肝炎も肝硬変も肝細胞が破壊されていくという点ではどちらも違いありません。
肝炎と肝硬変の違いは繊維化がどの程度進行しているかにあります。
肝炎では線維化がそれほど進行していないため、治療をすれば肝臓が備え持つ再生能力で元の状態に戻ることができますが、肝硬変になると線維化が進行していてかなりの肝細胞が破壊されてしまっているため、肝臓は元通りに戻ることができません。
つまり、肝炎と肝硬変の大きな違いは、元の元気な肝臓の状態に戻れるか否かです。
この違いは非常に大きいので、肝硬変になってしまう前に対処することが大事なのです。
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